金のインゴットや喜平のネックレス、プラチナのリング、ダイヤモンドを買い取るとき、店頭では古物営業法に基づいてお客様の住所・氏名・職業・年齢を確かめ、古物台帳に記録しています。古物営業法は盗品等の売買の防止を目的とする法律で、公安委員会の許可を受けた古物商に、買い受ける際の確認を求めています。そこに、代金を現金で支払う金額が200万円を超える貴金属等の売買では、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法、犯収法)の取引時確認が重なります。

2027年4月1日には、この犯収法の対面の確認方法が変わり、写真付き・ICチップ付きの本人確認書類はICチップを読み取って券面と照らし合わせることが原則になります。本記事では、法律・施行令・施行規則の条文と、警察庁・経済産業省の公表資料をもとに、買取店・質屋の本部が整理しておきたい対象取引、古物営業法との違い、カウンターでの手順、記録、犯罪の防止に関わる疑わしい取引の着眼点を、一覧の表も使って解説します。

結論:現金で200万円を超える貴金属の売買は、2027年4月からICチップの読み取りと照合が原則

金・白金・銀やダイヤモンドなどの宝石、これらの製品の売買を業として行う者は、犯収法の特定事業者「宝石・貴金属等取扱事業者」です(法第2条第2項第43号)[e-Gov法令検索]。古物商や質屋も、貴金属等の売買を業として行っていれば該当し、取引時確認が必要になるのは、代金の支払が現金で200万円を超える貴金属等の売買契約の締結です[警察庁]。売買契約なので、店が買い取る場面だけでなく、会社として販売する場面も同様に含まれます。

2027年4月1日からは、この取引で写真付き・ICチップ付きの本人確認書類の提示を受けたとき、ICチップに記録された氏名・住居・生年月日・写真を装置で読み取って画面に表示し(施行規則第6条第1項第1号イ)[e-Gov法令検索]、券面と照合する必要があります(警察庁Q&A No.12)[警察庁]。

一方、古物営業法の確認方法は身分証明書等の提示などで、2026年10月時点のe-Govでは、古物営業法とその施行規則に2027年に施行される改正は掲載されていません[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。同じカウンターで二つの法律の確認と記録を取り違えないよう、手順と記録の様式を組み直すことが要点です。

犯収法の取引時確認が必要になる貴金属の売買

犯収法の取引時確認が必要になる貴金属の売買。対象の品目、金・白金・銀と合金、宝石・真珠と製品。金額と支払、代金が200万円超、支払が現金のもの。金額によらず、分割は一の取引に、疑わしい取引も対象
犯罪収益移転防止法第2条第2項第43号、施行令第4条・第7条、施行規則第4条第1項第11号による。

対象になる品目、金額、支払方法は、施行令と施行規則で次のように決まっています[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。

項目内容根拠
貴金属金、白金、銀とこれらの合金施行令第4条第1項
宝石ダイヤモンドその他の貴石、半貴石、真珠施行令第4条第2項
製品上記の貴金属・宝石を使った指輪・ネックレスなどの製品法第2条第2項第43号
対象の取引代金の額が200万円を超える貴金属等の売買契約の締結施行令第7条第1項第6号
支払方法代金の支払が現金以外のものは対象から除く施行規則第4条第1項第11号

ブランド品のバッグや衣類など、貴金属や宝石を使っていない商品は貴金属等に当たりません。施行規則第4条第1項第11号の除外は、現行の規則と2027年4月1日施行の規則の両方にあります。振込で代金を支払う200万円超の取引は、通常の対象取引からは外れます。ただし施行令第7条第1項は、対象取引以外でも、疑わしい取引や顧客管理を行ううえで特別の注意を要する取引を特定取引としているため、金額や支払方法にかかわらず確認が必要な場面は残ります[e-Gov法令検索]。

同じお客様との複数の売買が、1回あたりの金額を減らすために分割したものであることが一見して明らかなときは、全体を一つの取引とみなします(施行令第7条第3項第15号)。また、なりすましの疑いがある取引などのハイリスク取引で200万円を超える財産の移転を伴う場合は、資産と収入の状況も確認します(法第4条第2項、施行令第11条)[e-Gov法令検索]。

確認する事項は、本人特定事項(個人は氏名・住居・生年月日、法人は名称と本店などの所在地)、取引を行う目的、職業(法人は事業の内容)、法人の実質的支配者です(法第4条第1項)。確認記録は契約が終了した日などから7年間(法第6条)、取引記録は取引の日から7年間(法第7条)保存します。宝石・貴金属等取扱事業者の取引記録は、代金の支払が現金で200万円を超える売買以外は作成しなくてよいとされています(施行令第15条第1項第3号ハなど)[警察庁]。取引時確認と本人確認の違いは、取引時確認と本人確認の違いとは?で解説しています。

古物営業法の確認と犯収法の取引時確認の違い

古物営業法と犯収法の確認の違い。古物営業法、1万円以上の買受け等、身分証の提示など。犯収法、現金200万円超の売買、2027年4月からIC。記録、古物台帳は3年保存、確認・取引記録は7年
古物営業法第15条・第16条・第18条、同法施行規則第15条・第16条、犯収法第4条・第6条・第7条。

買取カウンターでは、二つの法律の確認が金額によって重なります。違いを並べると次のとおりです[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。

項目古物営業法犯収法
対象古物の買受け・交換、売却・交換の委託。対価の総額1万円未満は不要(自動二輪車、ゲームソフト、書籍など7品目は金額を問わない)代金の支払が現金で200万円を超える貴金属等の売買
確認事項住所・氏名・職業・年齢氏名・住居・生年月日、取引を行う目的、職業
対面の方法身分証明書等の提示など(施行規則第15条第1項)2027年4月からは、IC付き書類はICチップの読み取りと照合
記録帳簿等に取引年月日、品目・数量、特徴、相手方、確認の措置の区分(法第16条)確認記録と取引記録(法第6条・第7条)
保存期間最終の記載から3年(法第18条)7年
疑いがあるとき不正品の疑いは警察官に申告(法第15条第3項)疑わしい取引の届出(法第8条)

なぜ二つの確認が必要になるのかというと、古物営業法は盗品等の売買の防止と被害の迅速な回復を、犯収法は犯罪による収益の移転の防止を目的としており、法律の目的が違うからです(古物営業法第1条、犯収法第1条)[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。金額の基準も違うので、1万円以上200万円以下の買取は古物営業法だけ、現金で200万円を超える買取は両方がかかります。確認事項も、古物営業法に基づく確認は職業と年齢、犯収法は生年月日と取引を行う目的というようにずれるため、買取申込書に両方の欄を設けておくと、お客様に二度聞かずに済みます。古物営業法側の確認方法と1万円未満の例外品目は、古物営業法の本人確認とはにまとめています。

2027年4月1日から、買取カウンターの本人確認はこう変わる

2026年3月6日に公布された施行規則の改正(令和8年第1号)により、対面の方法は提示を受ける書類によって次のように変わります[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。

提示を受ける書類2027年3月31日まで2027年4月1日から
写真付き・ICチップ付き(運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者証明書、旅券など)提示を受ける提示を受け、ICチップの氏名・住居・生年月日・写真を読み取って画面に表示し、券面と照合する(イ)
写真付き・ICチップなし(身体障害者手帳、運転経歴証明書など)提示を受ける提示を受け、住居あてに取引関係文書を転送不要郵便物等として送る(ロ(1))
写真なし・ICチップ付き(16歳未満の在留カード、1歳未満のマイナンバーカードなど)提示に加えて郵送などの措置ICチップの氏名・住居・生年月日を読み取り、住居あてに転送不要郵便物等として送る(ロ(2))

今回の改正は、偽変造された書類によるなりすましを防ぐために、対面の確認を厳格化・強化するものです。ICチップのない書類しか持たないお客様は、提示に加えて郵送の手続きが必要になり、カウンターでその場で確認を終えられません。旅券は対象の書類に含まれますが、ICチップに住居が記録されていないため、2020年2月4日以降に発行された旅券では、現在の住居が記載された他の本人確認書類か補完書類で住居を確かめます(Q&A No.5・9〜11)[警察庁]。

どの書類に対応するかは事業者が選べます(No.4)。施行日より前にICチップを読み取る方法で確認し、記録を残したお客様は、施行後に確認し直す必要はありません(No.1)。改正の全体像は犯収法改正で2027年4月から対面の本人確認はどう変わる?で解説しています。

代理人・法人のお客様、パスポートや健康保険証で来店したときの扱い

買取の依頼は、本人が来店する場合だけではありません。2027年4月1日以降の犯収法の取引時確認で、扱いに迷いやすい場面を紹介します[警察庁][e-Gov法令検索]。

場面2027年4月1日以降の扱い
家族などの代理人が委任状を持って来店した委任者と代理人の両方の本人確認書類のICチップを読み取るのが原則(Q&A No.23)
会社(法人)の在庫を担当者が売りに来た登記事項証明書など法人の本人確認書類に加え、代表者や担当者(代表者等)の書類のICチップを読み取る。代表者等の書類にICチップがなければ、その住所あての転送不要郵便物等か、役職員が本店等に出向いて文書を交付する(No.35・36)
旅券(パスポート)で確認したいICチップから氏名・生年月日・写真を読み、住居は住所が記載された他の本人確認書類か補完書類で確かめる(No.9〜11)
健康保険証に代わる資格確認書しか持っていないICチップのない資格確認書は、単独では本人確認書類として使えない。住居を確かめる書類としては使える(No.34)

補完書類は、国税・地方税の領収証書や納税証明書、社会保険料の領収証書、電気・ガス・水道などの公共料金の領収証書などで、領収日付や発行年月日が提示を受ける日の前6ヶ月以内のものに限られます(施行規則第6条第2項)。期限の切れたものやコピーではなく原本を持参するよう、予約や電話の問い合わせの際に必ず案内しておくと、カウンターでの確認がスムーズです。

マイナンバーカードで確認する場合も、個人番号(マイナンバー)は法令で定められた場合を除いて収集・保管できないため、確認記録や古物台帳には書き写しません。ICチップから読み取った情報は個人情報なので、個人情報保護法に沿って利用目的を示し、閲覧できる従業員を限るなど安全に管理します。マイナンバーカードのコピーの扱いは、マイナンバーカードのコピーは渡していい?で解説しています。

受付から代金の支払まで、どこで読み取り・照合するか

買取カウンターでの確認の流れ。受付・査定、申込書で職業・目的、品目と金額を確認。判定と読み取り、現金200万円超か判定、ICを読み券面と照合。支払と記録、古物台帳に記載、確認記録・取引記録
犯収法施行規則第6条第1項第1号イ(2027年4月施行)と警察庁Q&A No.12・14・39〜41。

来店したお客様から買取の依頼を受けてから代金を支払うまでの流れに沿って、確認を入れる場所をご紹介します。

1

受付: 買取申込書に住所・氏名・生年月日・職業・電話番号と、売却の目的を書いてもらう。古物営業法の4項目と犯収法の取引を行う目的・職業を1枚で集める

2

査定: 品目・数量・特徴(刻印、重量、品位など)を記録し、相場を踏まえて買取金額を出す

3

判定: 代金が200万円を超え、現金で支払うかを確かめる。同じお客様の過去の取引も見て、分割に当たらないかを確認する

4

読み取り: 該当すれば、写真付き・ICチップ付きの書類を店が用意した端末で読み取り、画面の氏名・住居・生年月日・写真を券面とお客様に照らし合わせる

5

支払と記録: 代金を支払い、古物台帳と確認記録・取引記録を作る

受付では、金を売るお客様から「なぜ生年月日や売却の目的まで聞くのか」と質問されることがあります。現金で200万円を超える売買は法律で確認が定められていると説明できる案内文を用意しておくと、お客様も安心して手続きでき、受付がスムーズに進みます。

読み取りには、デジタル庁の「マイナンバーカード対面確認アプリ」などの無料の公的アプリのほか、民間企業が提供するアプリやサービスも利用できます(Q&A No.20〜22)。警察庁のQ&Aによると、読み取った情報は照合できる大きさで画面に表示し、読み取り装置とは別の端末に表示しても構いません(No.14)。なりすましを防ぐため、読み取りは事業者が用意した端末で行い、お客様が持ち込んだ装置を使わせない取り扱いもできます(No.14・15)。装置の不具合で読めないときは、合理的な期間内に読み取れば取引時確認を完了できます(No.18)[警察庁]。

200万円以下の買取でも、古物営業法の確認でICチップを読み取る運用は選べます。精巧に偽造された書類を券面の目視で見分けるのは簡単ではなく、券面とICチップの情報が一致しない場合は書類の偽変造の可能性が考えられるとされています(No.25)。金額にかかわらず全部の買取で読み取るかどうかも、件数と負担を比べて検討しておくと、カウンターでの判断がそろいます。読み取りから照合、記録までの手順は対面本人確認でICチップを読み取る手順を参考にしてください。

古物台帳・確認記録・取引記録に残すもの

三つの記録は、根拠の法律も保存期間も違います。法令が求める事項と、任意で残す証跡を分けて設計します[e-Gov法令検索][e-Gov法令検索][e-Gov法令検索]。

記録法令で求められる主な事項任意で残す例
古物台帳(古物営業法第16条)取引年月日、品目・数量、特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、確認の措置の区分と方法刻印・重量・品位、品物の写真
確認記録(犯収法第6条、施行規則第20条)確認を行った者、提示を受けた日付と時刻、取引の種類、確認の方法、書類の名称と記号番号、本人特定事項、取引を行う目的、職業、本人と異なる名義を用いるときはその名義と理由ICチップの読み取りログ
取引記録(犯収法第7条)確認記録を検索するための事項、取引の期日と内容代金の支払方法、在庫の販売先

警察庁のQ&Aでは、ICチップの情報や読み取りのログ、券面と一致したことを確認記録に残す義務はなく、記録の作り方は改正後も変わりません。読み取りのログを残すことは、自主的な取り組みとしてできます(No.39)。ICチップを読み取った結果の画面を印刷したものは本人確認書類の「写し」に当たらないので、提示を受けた日付と時刻の記録は従来どおり必要です(No.40)。読み取った情報をホストなどへ送る必要もありません(No.41)[警察庁]。

業界紙のリユース経済新聞(2026年6月11日)は、確認方法、書類の種別、ICチップの読み取りの有無、券面との照合結果、確認担当者、確認日時、不一致があったときの補完確認、取引を行う目的、職業を記録できるよう、POSや査定システム、顧客管理台帳の項目を点検するよう勧めています[リユース経済新聞]。確認が適切に行われたことを後から説明できるよう、法定の項目に加えてどこまで残すかを、個人情報の保存期間とあわせて社内規程で決めておきます。

本人確認書類ごとの扱いと暗証番号の案内

2027年4月以降の取引時確認では、書類ごとに入力するものが違います。

書類入力するもの2027年4月以降に読む項目
運転免許証(従来型)暗証番号1と暗証番号2の2組氏名・住居・生年月日・写真
マイナンバーカード写真まで読むには、券面の生年月日・有効期限・セキュリティコードを使う方式氏名・住居・生年月日・写真
在留カード・特別永住者証明書券面の番号氏名・住居・生年月日・写真
旅券券面の情報氏名・生年月日・写真(住居は別の書類で確認)

運転免許証は写真を読むために暗証番号を2組とも入力する必要があります。警察庁のチラシも、ICチップの情報を読み取らせるには2つの暗証番号の入力が必要で、忘れたときは警察署等で確認できると利用者に案内しています[警察庁]。マイナンバーカードは、4桁の暗証番号で読める氏名・住所・生年月日・性別に写真が含まれないため、写真まで読む方式に対応した装置かを確かめておきます。

住所変更で券面の裏面だけが新しい住所になり、ICチップは旧住所のままという書類もあります。この場合は、券面の新住所を確認したうえで、ICチップの旧住所と券面の旧住所が一致することを確かめるなどして住居を確認します(No.13)。ICチップの一部が「●」で表示される例外的な場合も、券面との一致を合理的な範囲で確認できれば使えます(No.16)[警察庁]。暗証番号を覚えていないお客様への案内は、本人確認で暗証番号が分からないときの対応を参照してください。

疑わしい取引の着眼点と届出

経済産業省は「貴金属等取扱事業者における疑わしい取引の参考事例」(令和8年6月19日改正)で、買取の現場で注意すべき取引の類型を示しています[経済産業省]。買取カウンターに関係が深いものは次のとおりです。

  • 現金での取引を強く主張する、収入や資産に見合わない多額の売却を行う
  • 同じ人や企業が短期間に多くの金地金などを売買する、これまで取引のなかったお客様が突然多額の金地金を持ち込む
  • 金地金をどこで購入したかなど入手先が明らかでない、入手先の説明を拒む、刻印や形状に不審な点がある、刻印の品位と実際の品位が異なる
  • 売却を急ぎ、相場(市場価格)を大きく下回っても構わないとする
  • 支払調書の提出が必要になる金額を少し下回る買取を望む、1回の取引を一定の金額に収めるよう求める
  • 本人確認書類の提示を嫌がる、提示された書類が偽造の疑いがある、取引の書類ごとに異なる名前を使おうとする

入手先について納得できる説明が得られない場合は、買取を見合わせることも検討します。

リユース経済新聞は、買取価格が200万円をわずかに下回るケースが続く、本人確認書類と振込口座の名義が一致しないといった着眼点も挙げています[リユース経済新聞]。同紙で三村小松法律事務所の新田真之介弁護士は、貴金属や高価な品物の買取は金融機関からもマネー・ローンダリングのリスクが高い分野と見られやすく、具体的な疑いがなくても口座の凍結や取引停止に至ったという相談が増えていると指摘しています。そのうえで、確認の方法に加えて、在庫の販売先や送金記録などお金の流れを説明できる体制が重要になるとしています。

疑いがあると判断したときは、速やかに行政庁へ届け出ます(法第8条)。古物商・質屋の届出先は都道府県公安委員会で、届出や相談の窓口は事業者の所在地を管轄する警察署です[警察庁]。判断に迷うときは、届け出る前に警察署の相談窓口へ直接問い合わせることもできます。届け出ようとしていることや届け出たことを、お客様や関係者に漏らしてはいけません(法第8条第4項)[e-Gov法令検索]。ICチップの情報と券面が一致せず、第三者になりすましている疑いがあるときは警察等への通報が求められ(Q&A No.25)[警察庁]、古物営業法でも、不正品の疑いがあれば直ちに警察官へ申告します(法第15条第3項)[e-Gov法令検索]。偽造された運転免許証の見分け方は偽造免許証とは?問われる罪と、受付での見分け方で解説しています。

2027年4月までに本部で決めておくこと

施行日から逆算すると、本部で決めておくことは次の6つです。

1

対象の店舗と取引の棚卸し: 現金で200万円を超える高額の買取・販売がある店舗、出張買取・催事の件数を把握する

2

受け付ける書類: ICチップ付きの書類を基本にするか、ICチップのない書類の郵送手続きも受けるかを決める(No.4)

3

読み取り端末: 店頭、出張買取、催事のそれぞれで使う端末と予備機、故障時の手順を決める(No.18)

4

申込書と記録の様式: 古物台帳と確認記録・取引記録の項目を見直し、POS・査定システムで一度に残せるようにする

5

疑わしい取引の判断手順: 参考事例に関連づけたチェック項目、統括する責任者、届出までの流れを決める

6

お客様への案内と研修: 使える書類と暗証番号を店頭やウェブサイトで知らせ、照合の見方と読めないときの分岐を従業員が理解できるよう研修する

買取カウンターと出張買取でICチップを読み取るには

マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末stera(stera terminal standard・stera terminal unit・stera terminal mobile)と、NFCに対応したAndroidのスマートフォン・業務用ハンディ端末で使える本人確認の業務アプリです。店頭ではstera端末で、出張買取や催事ではAndroid端末で、お客様がカードをかざして暗証番号を自分で入力し、ICチップの情報を画面に表示して券面・ご本人と見比べられます。読める書類は、運転免許証(暗証番号2も入力すると顔写真)、マイナ免許証、マイナンバーカード(券面の14桁の番号で読むと顔写真も)、在留カード・特別永住者証明書(券面の12桁の番号で記載事項と顔写真。氏名は文字で表示しません)で、旅券には対応していません。

暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像は基幹システムへ送らず、合意した項目だけを古物台帳・POS・査定システムなどへ連携します(連携は個別にお見積り)。stera terminal standardでは、読み取り結果をレシートに印字することもできます。職業や取引を行う目的などICチップにない項目は、申込書や査定システムで確認します。古物営業法・犯収法の記録への残し方は、貴社の法務担当・顧問弁護士とご確認ください。導入相談の手順は次の4つです。

1

現金で200万円を超える買取がある店舗と、出張買取・催事の件数を整理する

2

受け付ける本人確認書類と、古物台帳・確認記録に残す項目を決める

3

使うstera端末・Android端末と、POS・査定システムとの連携範囲を確認する

4

マイナドライブIDのデモ・連携相談をこちらの申し込みフォームから申し込む

まとめ:二つの法律の確認を1枚の申込書と一つの手順にまとめる

金・プラチナ・宝石の買取では、古物営業法の確認と古物台帳がすべての基本で、代金を現金で200万円を超えて支払う売買には犯収法の取引時確認と7年保存の記録が重なります。2027年4月1日からは、その取引で写真付き・ICチップ付きの書類を使うとき、ICチップの読み取りと券面の照合が原則になります。対象取引の判定、読み取りと照合、三つの記録、疑わしい取引の届出までを一つの手順にまとめ、施行日より前に店頭と出張買取で試しておくことが大切です。

FAQ

よくある質問

Q. 貴金属の買取で犯収法の取引時確認が必要になるのはどんなときですか。
金・白金・銀とこれらの合金、ダイヤモンドなどの宝石や真珠、これらの製品の売買で、代金の額が200万円を超え、代金を現金で支払う場合です(施行令第7条第1項第6号、施行規則第4条第1項第11号)。店が買い取る場合も販売する場合も含まれ、分割したことが一見して明らかな取引は一つの取引とみなされます。
Q. 代金を振込で支払う200万円超の買取にも取引時確認は必要ですか。
代金の支払が現金以外の取引は、通常の対象取引から除かれています。ただし、疑わしい取引や顧客管理を行ううえで特別の注意を要する取引は金額や支払方法にかかわらず特定取引になるため、確認が必要になる場合があります。
Q. 2027年4月から買取カウンターの本人確認は何が変わりますか。
代金を現金で200万円を超えて支払う貴金属等の売買で、写真付き・ICチップ付きの本人確認書類の提示を受けたときは、ICチップの氏名・住居・生年月日・写真を装置で読み取って画面に表示し、券面と照合する方法が原則になります(施行規則第6条第1項第1号イ)。
Q. 古物営業法の本人確認もICチップの読み取りに変わりますか。
2026年10月時点のe-Govでは、古物営業法とその施行規則に2027年に施行される改正は掲載されていません。古物営業法の対面の確認は、身分証明書等の提示などで行う方法のままです。ただし、券面とICチップの情報の不一致から偽変造に気づけるため、全件で読み取る運用を選ぶこともできます。
Q. 確認記録にICチップの情報や読み取りのログを残す必要はありますか。
警察庁のQ&Aによると、ICチップの情報や読み取りのログ、券面と一致したことを記録する義務はなく、確認記録の作り方は改正後も変わりません(No.39)。提示を受けた日付と時刻、確認の方法、書類の名称と記号番号などを従来どおり記録し、ログは自主的な取り組みとして残せます。