受付でカードをかざしてもらい、暗証番号の入力画面に進んだところでお客様の手が止まる。「運転免許証の暗証番号を忘れた」「どの番号を入れるのかわからない」という場面は、店頭でも配達先や訪問先でも、対面の本人確認にICチップの読み取りを取り入れると珍しくありません。

もう一度試してもらうか、今日は受け付けないか。暗証番号は書類ごとに組数も、続けて間違えられる回数も違うため、勢いで再入力を重ねるとICチップが読めなくなります。2027年4月1日からは、犯罪収益移転防止法の特定事業者がICチップ付きの写真付き本人確認書類で対面の確認を行う場合、ICチップの情報を読み取って券面と照らし合わせることになります[警察庁]。

結論:推測で入力を続けず、ロック前に止めて窓口を案内する

暗証番号が分からないときの3手順。ロック前に止める、推測での再入力をしない、1回誤ったら一度確認。窓口を案内する、免許証は警察署など、マイナンバーカードは市区町村。確認を切り替える、別の書類や方法にする、後日にあらためて確認
続けて間違えられる回数は、従来のIC運転免許証が3回、マイナ免許証が10回、マイナンバーカードの券面事項入力補助用暗証番号が3回です(奈良県警察、マイナポータル)。

暗証番号は書類ごとに違います。従来のIC運転免許証は4桁の数字が2組(暗証番号1・暗証番号2)、マイナ免許証は4桁が1組です[奈良県警察]。続けて間違えると読めなくなる回数は、運転免許証が3回、マイナ免許証が10回です[police.pref.chiba.jp]。マイナンバーカードで氏名や住所を読み取るときに使う券面事項入力補助用の暗証番号は4桁の数字で、3回連続で間違えるとロックされます[マイナポータル]。

お客様が番号を思い出せないときの対処法は三つです。推測で入力を続けてもらわず、ロックする前に止めること。照会や再設定の窓口(運転免許証とマイナ免許証は運転免許センターや警察署など、マイナンバーカードはお住まいの市区町村)を伝えること。その場では別の確認方法へ切り替えるか、後日の確認に回すことです。

重要なのは、これを担当者任せにせず受付手順に入れることです。「1回間違えたら一度止めて、控えがあるかを聞く」という共通ルールにしておけば、書類ごとの回数の違いに振り回されません。

書類別の暗証番号とロックの違い

公的機関の案内を表にまとめます(2026年10月時点)。受付時間や場所は地域で異なるため、各機関の案内も確認してください。

書類入力する暗証番号続けて間違えたとき照会・再設定の窓口
従来のIC運転免許証4桁×2組(暗証番号1・暗証番号2)3回でICチップが読めなくなる本人が免許証を持参し、運転免許センター・警察署などで照会・解除
マイナ免許証4桁×1組10回で読めなくなる本人がカードを持参し、運転免許センター・警察署などで照会・解除
マイナンバーカード(券面事項入力補助用)4桁3回でロックされるお住まいの市区町村で再設定

従来のIC運転免許証では、暗証番号1で氏名・住所・生年月日など券面に記載された情報を、暗証番号2で顔写真と本籍を読み出します[奈良県警察]。顔写真まで取得するなら両方が必要で、日本郵便も2027年4月1日からの本人限定受取郵便(特定事項伝達型)について、運転免許証のICチップを読み取る際は4桁の暗証番号2組の入力が必要になると公表しています[日本郵便]。照会は個人情報保護の観点から電話では受け付けず、本人が免許証を持って窓口に申し出た場合だけ回答するとされ、暗証番号は次に免許証が交付されるとき(免許更新時など)まで変更できません[警視庁]。

マイナ免許証は、マイナンバーカードのICチップに免許情報を記録したもので、2025年3月24日に運用が始まりました[警察庁]。券面に免許情報が記載されないため、免許の確認はICチップの読み取りが前提です。免許情報用の暗証番号は警察の窓口、カード自体の暗証番号は市区町村の窓口と、同じ1枚でも扱いが分かれます[奈良県警察]。

マイナンバーカードの券面事項入力補助用の暗証番号は交付時に設定した数字4桁で、忘れた場合やロックされた場合は、お住まいの市区町村で再設定の手続きが必要です[マイナンバーカード総合サイト]。電子証明書用の暗証番号(署名用は英数字6〜16桁、利用者証明用は数字4桁)も別にあるため、どの番号を求められているのか混同しやすい点に注意します[奈良県警察]。

その場でやってはいけない4つのこと

受付でスタッフがしないこと。番号を聞かない、口頭でも紙でも聞かない、控えやメモも預からない。代わりに押さない、端末を受け取らない、入力はお客様本人だけ。何度も試させない、思いつく数字を試さない、1回誤ったら一度止める
警視庁は、暗証番号を設定しないとICチップ内の個人情報を読み取られるおそれがあるとし、キャッシュカード等と異なる番号にするよう案内しています。

暗証番号は、ICチップ内の個人情報を他人に読み取られないための仕組みです[警視庁]。番号を知るのは本人だけという前提を守るため、次の4つは受付手順で禁止しておきます。

  • 番号を聞く:口頭でも紙でも聞き取らない。
  • 代わりに入力する:端末を受け取ってスタッフが数字を押さない。
  • 控えを預かる:控えやメモを受け取らず、撮影もしない。
  • 何度も試させる:1回間違えた時点で一度止める。

番号を聞けば、スタッフが他人の暗証番号を知る状態が生まれます。警視庁は銀行のキャッシュカードやクレジットカードとは違う番号にするよう呼びかけていますが[警視庁]、使い回している人がいる可能性はあり、聞いた側が不正を疑われるリスクも抱えます。店舗で暗証番号を扱わず、管理もしない運用のほうが、セキュリティの面でもお客様の安心の面でも筋が通ります。

暗証番号の誤りと読み取りの失敗の取り違えにも注意します。デジタル庁は、スマートフォンでは機種によってICカードをかざす位置が異なる場合があり、読み取りに5秒以上かかることもあるため、完了までカードを当て続けるよう案内しています[デジタル庁]。端末の読み取り機能側で失敗したのか、番号が違ったのかを画面で確かめてから次に進みます。原因の切り分けはマイナ免許証読み取りアプリで読み取れない原因も参考になります。

声かけの例:短い案内文を3つ用意しておく

案内は短く、番号そのものには触れない言い方にそろえ、受付マニュアルや携行端末のメモに入れておきます。入力の前には、こう伝えます。

> 「ICチップを読み取りますので、暗証番号はご本人様だけで入力してください。私どもは番号をお聞きしません。」

1回間違えたら、続けて試す前に止めます。

> 「続けて間違えると、カードの読み取りができなくなることがあります。いったん止めて、控えがお手元にあるかご確認いただけますか。」

わからない、または万が一ロックされたときは、窓口と今日の扱いを伝えます。

> 「暗証番号は、運転免許証なら運転免許センターや警察署、マイナンバーカードならお住まいの市区町村で照会や再設定ができます。運転免許証の場合は、ご本人が免許証を持って行く必要があり、電話や代理ではできないとされています。本日は別の方法か、後日あらためてのご確認をお願いします。」

窓口へ行く手間は先に伝えておくのが大切です。運転免許証の照会や解除は、電話や代理人による手続が認められていません[奈良県警察]。受付は平日の日中が中心で、警視庁は道府県に住所がある人には即日対応できない場合があるとしています[警視庁]。配達先や訪問先では、窓口の案内まで済ませ、再訪や再配達の日程を決めてから引き上げます。

確認をどう扱うか:止める・後日にする・切り替える

分からないときの確認の扱い。取引を止める、その場で無理に進めない、理由と窓口を伝える。後日に確認する、照会後に再来店・再訪、装置の不具合とは別扱い。別の書類に替える、番号を覚えている書類で、可否は規程と法務で確認
警察庁Q&AのNo.18は読み取り装置の不具合で読めない場合の回答で、本人が暗証番号を思い出せない場合を直接扱ったものではありません(2026年10月時点)。

選べる扱いは、取引を止める、後日に確認をやり直す、別の書類や方法に切り替える、の三つです。どれを選べるかは、自社が犯罪収益移転防止法の特定事業者かどうかで変わります。

特定事業者の取引時確認の場合

警察庁が公表した施行規則改正のQ&Aは、読み取ったICチップの情報と券面の照合を求めたうえで(No.12)、読み取り装置の不具合で読めない場合は、合理的な期間内に読み取れば取引時確認を完了できるとしています(No.18)[警察庁]。ただしこれは装置の問題を想定した回答で、お客様が暗証番号を思い出せないケースを扱った回答は、2026年10月時点で当社が確認した範囲では見当たりません。装置の不具合と同じ扱いで「券面だけで受け付けて後日読む」と決めず、どの方法に切り替えられるかは自社の規程と法務に確認してください。

切り替え先としては、お客様が暗証番号を覚えている別のICチップ付き書類に変える方法があります。確認方法の選択は特定事業者に委ねられ、すべての本人確認書類に対応する必要はないとされているため(No.4)、受け付ける書類と方法は自社で決めておきます。ICチップを読み取らない方法には取引関係文書の送付が伴うものもあり、その場で完結しない可能性を前提に案内を用意します。全体の組み立ては店頭でICチップを読み取る基本の手順で整理しています。

特定事業者でない場合

レンタカー、配送、一般の小売などは特定事業者ではないため、ICチップの読み取りは義務ではなく、運用品質を上げるための選択です。券面の目視で受け付ける、後日の来店や再配達に回す、別の書類を出してもらう、のどれを認めるかを業務ごとに検討し、どの扱いをしたかを記録に残しておくと、確認の質をあとから振り返れます。

日本郵便の本人限定受取郵便(特定事項伝達型)は、提示された書類で名あて人と確認できない場合、他の書類や口頭の質問による確認は行わないと案内しています[日本郵便]。2027年4月1日からはICチップの情報が本人確認書類と一致することを確認した上で本人確認を行うとしていますが、公表資料は暗証番号が分からない場合の扱いや、確認に使う機器や手順までは示していません[日本郵便]。

事前案内で「その場で分からない」を減らす

まず取り組みたいのは、予約確認のメールや来店前のお知らせ、配達予定の通知など、お客様がサービスの利用前に準備できるタイミングで次の内容を伝えておくことです。

  • ICチップを読み取り、暗証番号はご本人が入力すること(スタッフは聞かないこと)
  • 運転免許証は4桁の暗証番号が2組必要になる場合があること
  • 控えの場所と、分からない場合に照会・再設定ができる窓口

控えの場所を具体的に書くと、思い出してもらえる機会が増えます。運転免許証の暗証番号は、申請時に出力された記録紙を大切に保管するよう案内されており[police.pref.chiba.jp]、マイナンバーカードの暗証番号は、設定暗証番号記載票や暗証番号設定等依頼書の形で渡されている場合があります[マイナンバーカード総合サイト]。

総務省の特殊詐欺等対策サイトも、携帯電話サービスの契約で令和9年4月以降は対面でもICチップの読み取りが原則必須になることに触れ、暗証番号が分かるようにしておくこと、忘れても照会や再設定ができることを呼びかけています[総務省]。照会先は発行元の機関として示し、番号そのものには触れない書き方にそろえておくのがおすすめです。

受付側では、暗証番号が分からなかった件数とその後の扱いを数えておくと、事前案内の効果をチェックできます(番号は記録しません)。運転免許証の伝え方は運転免許証の暗証番号の案内方法でも扱っています。

本人が自分で入力できる画面でICチップを読み取るには

マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末stera(stera terminal standard・stera terminal unit・stera terminal mobile)と、NFCに対応したAndroid端末(業務用のハンディ端末やスマートフォン)で動く本人確認の業務アプリです。お客様がカードをかざし、暗証番号はお客様自身が入力します(stera端末はお客様側の画面のタッチパネル、Android端末は端末画面のテンキー)。スタッフは暗証番号を聞かず、控えもしません。読み取れるのは、マイナ免許証(4桁の暗証番号で免許情報と顔写真)、従来のIC運転免許証(暗証番号1で本籍を除く記載事項、暗証番号2も入力すると顔写真)、マイナンバーカード(4桁の暗証番号で氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号で顔写真も。個人番号は読み取りません)です。顔写真は端末画面に表示され、担当者が本人の顔と見比べられます。

このアプリは、暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像を基幹システムへ送らないデータ最小化を前提にしており、合意した項目だけをHTTPS POSTで基幹システムへ連携できます(認証はmTLS・OAuth2・HMAC署名から選択)。ICチップの情報を外部へ送らなくても端末画面での照合で確認は完結でき、読み取った情報をいずれかへ送信する必要はないとする警察庁Q&AのNo.41とも整合します。在留カード・特別永住者証明書は券面の12桁の番号を入力して読み取り、旅券には対応していません。マイナンバーカードは、4桁の暗証番号では氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号を入力すると顔写真も読み取れます。犯罪収益移転防止法の取引時確認に使う場合、読み取る項目(氏名・住居・生年月日・写真)と券面との照合を自社の確認手順に組み込めるかは、法務担当・顧問弁護士に確認してください。導入相談までの手順は次のとおりです。

1

受付で暗証番号が分からないお客様がどれくらいいるかと、現在の対応(その場で断る・後日にするなど)を整理する。

2

読み取りたい項目と、確認記録への反映方法を決める。

3

使う端末(stera端末、またはNFCに対応したAndroid端末)と既存システムの連携可否を確認する。

4

マイナドライブIDのデモ・連携相談をこちらの申し込みフォームから申し込む。

まとめ:分からないときは止めて、窓口と次の段取りを伝える

暗証番号が分からない場面は、ICチップを使った対面の本人確認では避けて通れない例外です。書類ごとのロックまでの回数を押さえ、推測での再入力を止め、窓口を伝えたうえでその日の扱いを決めておけば、お客様にも担当者にも安全で無理のない受付になります。来店や配達の前の案内で、「その場で分からない」を少しずつ減らしていきましょう。

FAQ

よくある質問

Q. 対面の本人確認で暗証番号が分からないお客様には、何回まで入力してもらえばよいですか。
続けて間違えると読み取れなくなる回数は、運転免許証が3回、マイナ免許証が10回、マイナンバーカードの券面事項入力補助用暗証番号が3回です。書類ごとに違うため、1回間違えた時点で一度止め、控えがあるかを確認する共通ルールにしておくと現場で迷いません。
Q. 運転免許証の暗証番号を忘れた場合、どこで照会できますか。
本人が免許証を持参し、運転免許センターや運転免許試験場、警察署などで照会やロックの解除ができます。電話や代理人による手続きは認められていないと案内されており、受付時間や場所は都道府県によって異なります。
Q. スタッフが暗証番号を聞いて代わりに入力してもよいですか。
避けるべきです。暗証番号はICチップ内の個人情報を他人に読み取られないための仕組みで、スタッフが番号を知ると確認の前提が崩れ、不正を疑われるリスクも生じます。入力はお客様本人だけが行い、控えやメモも預からない運用にします。
Q. マイナンバーカードの暗証番号がロックされたらどこで再設定しますか。
券面事項入力補助用の暗証番号は3回連続で間違えるとロックされ、お住まいの市区町村で再設定の手続きが必要です。マイナ免許証の免許情報を読むための暗証番号は運転免許センターや警察署で照会・解除するため、同じカードでも窓口が分かれます。
Q. 暗証番号が分からず読み取れないとき、券面だけで受け付けて後日読み取ってもよいですか。
特定事業者の場合、警察庁Q&AのNo.18が示すのは読み取り装置の不具合で読めない場合の扱いで、本人が暗証番号を思い出せない場合を直接扱ったものではありません。どの方法に切り替えられるかは自社の規程と法務に確認してください。特定事業者でない場合は義務ではないため、認める扱いを自社で決めて記録に残します。