銀行の窓口で口座を作ろうとして運転免許証を差し出したところ、続けて「ご職業は」「この口座は主に何にお使いになりますか」と聞かれ、身元はもう示したのにと戸惑った経験はないでしょうか。郵便局の貯金窓口や、不動産の売買契約の場でも、同じような質問を受けることがあります。
窓口の担当者にとっても、「法律で決まっていますので」とだけ伝えて納得してもらうのは簡単ではありません。社内研修で説明する立場であれば、本人確認と取引時確認がどう違い、どこまでが法律上の確認で、どこからが事業者ごとの確認なのかを、根拠とあわせて言葉にしておく必要があります。
結論:本人確認は取引時確認の一部です
本人確認は、氏名・住居・生年月日という本人特定事項を、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類で確かめることです。政府広報オンラインは、金融機関などで行われる「本人確認」を、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)第4条第1項第1号に規定する本人特定事項の確認の意味で説明しています[政府広報オンライン]。顧客が法人の場合は、名称と本店または主たる事務所の所在地が本人特定事項になります[警察庁]。
取引時確認は、犯罪収益移転防止法が特定事業者に義務づけた確認で、本人特定事項に加えて、取引を行う目的、職業(法人は事業の内容)、法人の実質的支配者を確認します。なりすましの疑いがある取引などのハイリスク取引で、200万円を超える財産の移転を伴う場合は、資産及び収入の状況も確認の対象になります[警察庁]。窓口で職業や取引の目的を聞かれるのは、この取引時確認を行っているためです。ゆうちょ銀行も、法律により銀行には取引時確認が義務付けられていると案内しています[ゆうちょ銀行]。
二つの言葉が混在している背景には、法律の移り変わりがあります。警察庁の資料によると、2003年(平成15年)1月6日に施行された金融機関等本人確認法が金融機関等に本人確認を義務付け、2008年(平成20年)3月1日に犯罪収益移転防止法が全面施行されました。その後の改正(2013年〈平成25年〉4月1日全面施行)で取引を行う目的や職業などが確認事項に加わり、取引に際して行う確認を「取引時確認」と呼ぶことになりました[警察庁]。全国銀行協会も、2013年4月1日から個人の顧客には職業や取引を行う目的も確認するようになったと説明しています[全国銀行協会]。
なお「本人確認」は、犯罪収益移転防止法以外の手続きや、事業者が独自に定めた確認でも使われる一般的な言葉です。以下では、法律上の意味がはっきりしている「本人特定事項の確認」を本人確認として、取引時確認と比べます。
比較表:根拠・確認する事項・確認の方法・記録
| 項目 | 本人確認(本人特定事項の確認) | 取引時確認 |
|---|---|---|
| 根拠 | 犯罪収益移転防止法第4条第1項第1号。法令以外の手続きでも使われる言葉 | 犯罪収益移転防止法第4条。特定事業者が特定取引等に際して行う義務 |
| 確認する事項 | 個人は氏名・住居・生年月日、法人は名称・本店等の所在地 | 本人特定事項に加え、取引を行う目的、職業・事業の内容、実質的支配者(法人)、資産及び収入の状況(ハイリスク取引の一部) |
| 確認の方法 | 本人確認書類の提示や送付、画像やICチップ情報の送信、電子証明書など | 本人特定事項は左と同じ。目的と職業は申告、法人の事業内容は登記事項証明書など、資産と収入は源泉徴収票など |
| 記録 | 取引時確認の一部として、書類の名称・記号番号や提示を受けた日付・時刻などを確認記録に残す | 確認記録を直ちに作成し、特定取引等に係る契約が終了した日から7年間保存する |
特定事業者には、取引時確認(第4条)のほか、確認記録の作成・保存(第6条)、取引記録等の作成・保存(第7条。取引の日から7年間)、疑わしい取引の届出(第8条)、取引時確認等を的確に行うための措置(第11条)などが定められています[警察庁]。本人確認は取引時確認の入り口にあたり、取引時確認はその後の記録や届出までつながる一連の義務の起点になっている、と整理すると違いがつかみやすくなります。
取引時確認で確認する事項(個人・法人)
取引時確認の確認事項と確認方法は、通常の特定取引かハイリスク取引か、顧客が個人か法人かによって変わります。ここでは警察庁の「犯罪収益移転防止法の概要」(2026年8月7日時点)に沿って、現行の取扱いを解説します[警察庁]。
個人の場合
本人特定事項は氏名・住居・生年月日です。対面では、運転免許証、マイナンバーカード、旅券などの写真付き本人確認書類の提示を受ける方法が基本で、資格確認書や国民年金手帳など顔写真のない書類の場合は、別の本人確認書類や補完書類の提示を受けるか、書類に記載された住居に取引関係文書を書留郵便等で転送不要郵便物として送付する方法を組み合わせます。対面で本人確認書類の写しを提示する方法は認められておらず、有効期限のある書類は提示を受ける日に有効なもの、有効期限のない書類は原則として提示を受ける日の前6か月以内に作成されたものに限られます[警察庁]。全国銀行協会も、銀行窓口で氏名・住居・生年月日の確認を受けるときは原本の提示が必要と案内しています[全国銀行協会]。窓口に持っていく必要書類の考え方は本人確認書類には何が使えるかでも整理しています。
インターネットや郵送で手続きする非対面の場合は、事業者が提供するソフトウェアで撮影した容貌と写真付き本人確認書類の画像の送信を受ける方法、容貌の画像とICチップ情報の送信を受ける方法、本人確認書類の送付を受けて取引関係文書を転送不要郵便物等で送る方法、電子証明書を使う方法などが示されています[警察庁]。オンラインで完結するこうした確認方法は、一般にeKYCと呼ばれます。
取引を行う目的とは、その取引によって達成したい事柄のことです。具体的な項目は法令で定められておらず、各特定事業者が取引の内容などを踏まえて決めます。確認方法は顧客からの申告で、口頭で聞くほか、事業者が作成した類型のチェックリストに印を付けてもらう方法があります。職業は日常従事する仕事などを指し、確認方法は目的と同じく申告です[警察庁]。
マイナンバーカードを本人確認書類として提示する場合、個人番号の収集や告知を求めることは他の法令で禁止されているため、事業者は個人番号を書き写さず、写しを取るときも裏面の写しは取らないこととされています[警察庁]。
法人の場合
法人の本人特定事項は、登記事項証明書や印鑑登録証明書など、法人の名称と主たる事務所の所在地が記載された書類で確認します。政府広報オンラインは、法人が銀行口座を開設したりリース契約を結んだりする場合には、その法人と取引担当者の両方の本人確認が必要だと説明しています[政府広報オンライン]。取引担当者(代表者等)が法人のために取引の任に当たっていることは、委任状を持っていることや電話で確認できることなどで確かめ、2016年(平成28年)10月1日以後、社員証を持っていることはその理由として認められなくなりました[警察庁]。
事業の内容は、登記事項証明書や定款などの書類またはその写しで確認します。実質的支配者は、法人の事業経営を実質的に支配できる関係にある者のことで、株式会社などでは議決権の25%超を持つ自然人が該当し、50%超を持つ自然人がいればその人が実質的支配者になります。通常の特定取引では、代表者等から実質的支配者の本人特定事項について申告を受けます[警察庁]。全国銀行協会は、25%超の議決権を取得している人の有無と、いる場合はその人の氏名・住居・生年月日を確認すると説明しています[全国銀行協会]。顧客が国、地方公共団体、上場企業等である場合は、取引の任に当たっている代表者等の本人特定事項だけを確認します[警察庁]。
ハイリスク取引の場合
ハイリスク取引は、過去の契約時に確認した顧客等になりすましている疑いがある取引、確認事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引、イランや北朝鮮に居住・所在する顧客等との取引、外国の重要な公的地位にある者(外国PEPs)との取引です。本人特定事項は通常の方法に加えて追加の書類で確認し、法人の実質的支配者は株主名簿や登記事項証明書などを確認したうえで申告を受けます。200万円を超える財産の移転を伴う場合は、源泉徴収票、確定申告書、預貯金通帳などで資産及び収入の状況を確認しますが、疑わしい取引の届出をするかどうかを判断できる程度に行うものとされ、資産や収入の全部を確認することまでは求められていません[警察庁]。
窓口で職業や取引目的を聞かれる理由
取引時確認は、マネー・ローンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防ぐための対策です。マネー・ローンダリングとは、犯罪で得たお金を正当な取引で得たように見せかけたり、口座を転々とさせたりして、お金の出所や流れを隠そうとすることです。政府広報オンラインは、本人確認を強化することでお金の出所を明らかにし、その後の流れを追跡しやすくすることが犯罪収益移転防止法の目的だと説明し、犯罪組織やテロ組織への資金流入を防ぐための協力を呼びかけています[政府広報オンライン]。
職業や目的まで聞く理由は、警察庁の資料に書かれています。取引を行う目的や職業などの確認事項は、特定事業者が疑わしい取引の届出を行うべき場合に当たるかどうかをより的確に判断するために追加されたもので、事業者は、顧客の取引の態様が、目的や職業などの属性情報に照らして不自然でないかを吟味することになります[警察庁]。本人であることを確かめるだけでは、その取引が申告どおりの目的に沿っているかまでは判断できないため、取引の背景にある情報もあわせて確認する仕組みです。
銀行側の案内(2026年10月時点)も同じ趣旨です。ゆうちょ銀行は、法律により銀行には取引時確認が義務付けられているため、各種取引の際に住所・名前・生年月日が記載された公的機関発行の証明書類の提示をお願いしていると案内しています[ゆうちょ銀行]。全国銀行協会は、個人の職業と、個人・法人の取引を行う目的は窓口等で確認するとしたうえで、銀行は法律に基づく確認に加えて各銀行独自の観点でさまざまな確認をしているため、銀行によって異なる場合があると説明しています[全国銀行協会]。窓口で聞かれる内容がすべて法律で決められた項目とは限らないため、気になる質問があれば、その場で担当者に確認の趣旨を尋ねてかまいません。
一方で、取引のたびに同じ質問を受けるとは限りません。既に取引時確認を行い確認記録を保存している顧客であれば、記録と同一人物であることを確かめることで、改めて取引時確認を行う必要はないとされています。ただし、ハイリスク取引や特別の注意を要する取引に当たる場合は、改めて取引時確認が必要です。また、特定事業者には、取引時確認をした事項の情報を最新の内容に保つための措置を講ずることも求められています[警察庁]。
窓口の担当者が顧客に説明するときは、次の3点を押さえておくと伝わりやすくなります。
- 犯罪収益移転防止法で、銀行などの特定事業者に義務づけられた確認であること
- 取引を行う目的や職業は申告で確認し、具体的な選択肢は事業者が決めていること
- 確認した内容は確認記録として作成され、契約終了から7年間保存されること
取引時確認が必要な取引と不要な取引
特定事業者のすべての取引で取引時確認が必要になるわけではありません。犯罪収益移転防止法では、義務の対象となる業務(特定業務)と、そのうち取引時確認が必要な取引(特定取引等)が決められています。たとえば宅地建物取引業者の場合、宅地建物の売買やその代理・媒介は対象ですが、賃貸の業務は対象になりません[警察庁]。政府広報オンラインが挙げる主な例は次のとおりです[政府広報オンライン]。
| 事業者 | 取引時確認が必要な取引の例 |
|---|---|
| 金融機関等 | 預貯金口座などの開設、200万円を超える大口現金取引、10万円を超える現金送金など |
| クレジットカード会社 | クレジットカード契約の締結 |
| ファイナンスリース会社 | 1回に支払うリース料が10万円を超えるファイナンスリース契約の締結 |
| 宅地建物取引業者 | 宅地建物の売買契約の締結、またはその代理・媒介 |
| 宝石・貴金属等取扱事業者 | 代金の支払が現金で200万円を超える宝石・貴金属等の売買契約の締結 |
銀行の取引について、全国銀行協会は、口座開設・貸金庫・保護預りなどの取引を始めるとき、200万円を超える現金・持参人払式小切手などの受払いを伴う取引、10万円を超える現金による振込み、融資取引などを挙げています[全国銀行協会]。
特定取引は、施行令に列挙された対象取引と、マネー・ローンダリングの疑いがあると認められる取引や同種の取引の態様と著しく異なる態様で行われる取引(特別の注意を要する取引)の二つの類型からなります。金額の基準を下回る取引でも、特別の注意を要する取引に当たる可能性があります。また、一回当たりの金額を減らすために一つの取引を分割していることが一見して明らかなものは、一つの取引とみなされます[警察庁]。
反対に、取引時確認が不要な取引もあります。政府広報オンラインは、金融機関の店頭で電気・ガス・水道の料金や入学金等を現金で振り込む際は、10万円を超える場合でも本人確認書類の提示が不要になると案内しています[政府広報オンライン]。国や地方公共団体への金品の納付など、簡素な顧客管理が許容される取引も対象取引から除かれており[警察庁]、全国銀行協会も納税手続については取引時確認は不要としています[全国銀行協会]。
特定事業者に当たるのは、金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、カジノ事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者のほか、司法書士・行政書士・税理士・弁護士などの士業者です[警察庁]。この一覧にない業種で行う本人確認は、犯罪収益移転防止法の取引時確認ではなく、それぞれの法令や事業者のルールに基づくものです。
確認に応じられないときの扱い
特定事業者は、顧客等が特定取引等を行う際に取引時確認に応じないときは、応じるまでの間、その特定取引等に係る義務の履行を拒むことができるとされています[警察庁]。全国銀行協会も、所定の公的証明書がない場合には取引ができないことがあると案内しています[全国銀行協会]。職業や目的の申告を断ったり、本人確認書類を持っていなかったりすると、口座開設などの手続きがその場で進まないことがある、ということです。
また、顧客等は取引時確認の際に内容を偽ってはならず、本人特定事項を隠す目的で本人特定事項を偽った者には罰則が適用されます[警察庁]。窓口で説明するときは、罰則を持ち出して回答を迫るのではなく、確認が完了するまで手続きを進められない仕組みであることを伝えるのが正確です。
窓口で手続きが止まりやすい場面と、一次情報で確認できる対応は次のとおりです。
- 顔写真のない本人確認書類しか持っていない:他の本人確認書類を提示するなどの追加の対応が必要です[政府広報オンライン]。
- 書類の住所が今の住所と違う:他の本人確認書類や、納税証明書・社会保険料領収証書・公共料金領収証書などの補完書類(原則として6か月以内のもの)で現在の住居を確認します[警察庁]。
- 名義人以外の人が来店した:来店した人の本人確認書類に加え、名義人のために取引していることを示す書面(個人なら同居親族であることを示す住民票の写しなど)で確認します[全国銀行協会]。
- 子どもの口座を開設する:子どもの本人確認書類だけでなく、来店する親権者の本人確認書類も必要です[全国銀行協会]。
2027年4月から対面の本人確認はICチップ読み取りへ
取引時確認のうち本人特定事項の確認方法は、2027年(令和9年)4月1日に施行される犯罪収益移転防止法施行規則の改正で変わります。対面でICチップ付きの写真付き本人確認書類の提示を受ける場合、事業者は提示を受けるとともに、ICチップに記録された氏名・住居・生年月日・写真(旅券は氏名・生年月日・写真)を読み取り装置で読み取り、映像面に表示させる方法をとることになります[警察庁]。
警察庁のQ&Aでは、この要件を備えた書類の例としてマイナンバーカード、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、旅券などが挙げられています。読み取ったICチップ情報と券面情報を照らし合わせて偽変造などによるなりすましを防ぐことが趣旨であるため、照合まで行う必要があるとされています[警察庁]。ICチップのない写真付き本人確認書類の提示を受ける場合は、取引関係文書を書留郵便等で転送不要郵便物等として送付する方法と組み合わせることになります[警察庁]。Q&Aは、こうした書類の例として身体障害者手帳や運転経歴証明書などを挙げています[警察庁]。
同じQ&Aでは、施行前に実施した取引時確認の記録があれば施行後に実施し直す必要はないこと、確認記録の作成方法や記録事項は変わらないこと、読み取ったICチップ情報をいずれかへ送信する必要はないこと(No.41)、読み取り装置を事業者が用意したものに限る取扱いも認められることが示されています[警察庁]。
変わるのは本人特定事項の確認方法で、取引を行う目的や職業は引き続き申告で確認する事項として残ります。ICチップを読み取るようになっても、窓口での質問がなくなるわけではありません。また、この見直しは特定事業者が行う取引時確認についてのもので、特定事業者ではない事業者が同じ手順を採用する場合は、義務ではなく運用品質を高めるための選択になります。改正の全体像は犯収法改正で2027年4月から対面の本人確認はどう変わるか、窓口での読み取りと照合の流れは店頭でICチップを読み取る基本の手順、営業担当者が顧客先で確認する場合は訪問先の本人確認とICチップ読み取りで整理しています。
窓口の取引時確認でICチップを読み取るには
マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末stera(stera terminal standard・stera terminal unit・stera terminal mobile)と、NFCに対応したAndroid端末(業務用のハンディ端末やスマートフォン)で動く本人確認の業務アプリです。取引時確認のうち本人特定事項の確認では、ICチップから氏名・住所・生年月日・顔写真を読み取り、画面で照合する作業に使えます。お客様が端末にカードをかざし、暗証番号はお客様自身が入力します(stera端末はお客様側の画面のタッチパネル、Android端末は端末画面のテンキー)。スタッフが暗証番号を聞いたり控えたりする必要はありません。読み取れるのは、マイナ免許証(4桁の暗証番号で免許情報と顔写真)、従来のIC運転免許証(暗証番号1で本籍を除く記載事項、暗証番号2も入力すると顔写真)、マイナンバーカード(4桁の暗証番号で氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号で顔写真も。個人番号は読み取りません)です。顔写真は端末画面に表示され、担当者が本人の顔と見比べられます。取引を行う目的や職業の確認は、これまでどおり別に行う必要があります。
このアプリはデータ最小化を前提にしており、暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像は基幹システムへ送りません。合意した項目だけをHTTPS POSTで基幹システムへ連携でき、認証はmTLS・OAuth2・HMAC署名から選べます。読み取ったICチップの情報を外部へ送信しなくても、端末画面での照合で確認は完結でき、前述の警察庁Q&A No.41の「読み取ったICチップ情報をいずれかへ送信する必要はありません」という回答とも整合します。在留カード・特別永住者証明書は券面の12桁の番号を入力して読み取り、旅券には対応していません。マイナンバーカードは、4桁の暗証番号では氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号を入力すると顔写真も読み取れます。犯罪収益移転防止法の取引時確認に使う場合、読み取る項目(氏名・住居・生年月日・写真)と券面との照合を自社の確認手順に組み込めるかは、法務担当・顧問弁護士に確認してください。導入を相談する場合は、次の4ステップで進めます。
窓口で行っている取引時確認の流れ(本人特定事項・取引目的・職業の確認と記録)を整理する。
読み取りたい項目と、確認記録への反映方法を決める。
使う端末(stera端末、またはNFCに対応したAndroid端末)と既存システムの連携可否を確認する。
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まとめ
本人確認は、氏名・住居・生年月日(法人は名称・所在地)を本人確認書類などで確かめることで、取引時確認は、そこに取引を行う目的や職業、法人の実質的支配者などを加えた、犯罪収益移転防止法上の特定事業者の義務です。窓口で職業や目的を聞かれるのは、取引が申告内容に照らして不自然でないかを判断し、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐためです。2027年4月からは対面での本人特定事項の確認にICチップの読み取りが加わりますが、目的や職業の確認はこれまでどおり続きます。利用者は原本の本人確認書類を用意し、窓口の担当者は確認の根拠と、確認が終わるまで手続きを進められない仕組みを落ち着いて説明できるようにしておくと、やり取りが円滑になります。
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