クレジットカードやキャッシュカード、口座開設の書類を、申し込んだ本人にだけ確実に届けたい。そのとき差出人が使うのが、配達の際に受取人の本人確認書類を確かめてから渡す「本人確認配達」です。日本郵便の本人限定受取郵便(基本型・特例型・特定事項伝達型の3種類)や、宅配便会社の受取人確認のオプションがこれにあたります。

どれを選ぶかは、犯罪収益移転防止法(犯収法)の取引時確認に使うかどうかで変わり、2027年4月1日からは配達時の確認方法も変わります。本記事では、施行規則の条文と警察庁・日本郵便・宅配便会社の公表資料をもとに、種類の違いと選び方を解説します。

結論:犯収法で使えるのは、確認した事項を差出人に伝える配達

本人確認配達は、名あて人本人であることを書類で確かめてから渡す配送の呼び方です。このうち犯収法の取引時確認に使えるのは、配達する側が差出人に代わって住居を確認し、写真付きの本人確認書類の提示を受け、確認した者の氏名、提示の日時、書類の名称と記号番号などを差出人に伝える措置をとる郵便等に限られます(施行規則第6条第1項第1号ヲ。2027年4月1日以降はチ)[e-Gov法令検索]。対象は自然人で[警察庁]、郵便では本人限定受取郵便の特定事項伝達型がこれにあたります[日本郵便]。

条文は「郵便又はこれに準ずるもの」と定めており、郵便に限っていません[e-Gov法令検索]。2027年4月1日からは、配達員が書類を目で見るだけでは足りず、ICチップに記録された氏名・住居・生年月日・写真を読み取り装置で読んで画面に表示し、券面と照らし合わせることが条件になります[警察庁]。

本人確認配達の主な種類と違い

本人確認配達の3つの選択肢。基本型、写真付き1点か書類2点、差出人への伝達なし。特定事項伝達型、写真付きの公的証明書1点、5項目を差出人に伝達。宅配便の受取人確認、生年月日などを端末で照合、入力情報を後日提供
日本郵便の本人限定受取郵便のページと佐川急便の受取人確認サポートのページによる(2026年10月時点)。特例型は2027年3月31日で終了する。

主な選択肢を2026年10月時点の公表資料で一覧にすると、以下のとおりです。特例型は2027年3月31日で終わるため、表から外しています[日本郵便][日本郵便][佐川急便]。

項目本人限定受取郵便(基本型)本人限定受取郵便(特定事項伝達型)宅配便の受取人確認(佐川急便の例)
受け取る場所郵便窓口指定の郵便窓口か配達配達時に確認
本人確認書類写真付き1点、または写真なしなど2点写真付きの公的証明書1点運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど1点
代わりの受け取り差出人が指定した代人は可不可不可(家族も不可)
差出人への伝達なし書類の名称・記号番号などを伝達入力した生年月日・記号番号などを後日提供可
料金基本料金+一般書留480円+270円同左運賃+330円(税込)/個

特定事項伝達型の差出人は、事前に利用を申し出たうえで、郵便物に「本人限定受取(特伝)」と「転送不要」、あらかじめ付与された追跡番号を記載し、一般書留・料金後納で発送します。窓口では承諾を得て書類のコピーがとられ、配達の場合や承諾しない場合は記号番号などが記録されます。受け取り後、差出人は書類の名称、記号番号、生年月日、確認者の氏名、提示の日時の5つを登録制のホームページからダウンロードできます[日本郵便]。郵便局は名あて人へ到着通知書を送り、名あて人が郵便局へ連絡して窓口か配達を選びます。保管期間は到着した日から原則10日で、転居先へは転送されず、本人以外は家族でも受け取れません[日本郵便]。

宅配便の例として佐川急便の受取人確認サポートの概要を見ると、荷物を届ける際に送り状に登録した生年月日と書類の生年月日を端末で照合する「公的証書による確認」と、事前に共有した番号で照合する「パスワードによる確認」を選べます。書類は運転免許証・マイナンバーカード・日本国発行のパスポート・在留カード・特別永住者証明書のいずれか1点で、住所の記載がないパスポートなどは公共料金の請求書などで住所を補います。初回は営業所との打ち合わせが必要で、運転免許証はOCR機能で読み取ることもあり、入力した生年月日や記号番号などは後日差出人へ提供することが可能です[佐川急便]。楽天銀行は、口座開設の書類をこのサービスか特定事項伝達型で送ると案内しています[楽天銀行]。携帯電話の申し込みでも、商品の受け取り時に配達員へ書類を示して確認する方式が使われています[楽天モバイル]。

犯収法の取引時確認に使える条件

施行規則が定めるのは、こうした郵便等で顧客に取引関係文書を送付する方法で、配達する側に求める措置は次の3点です[e-Gov法令検索]。

1

差出人(特定事業者)に代わって住居を確認する

2

名あて人本人が受け取る際に、写真付きの本人確認書類の提示を受ける

3

確認した者の氏名など、提示を受けた日付と時刻、書類の名称および記号番号などを差出人に伝える

基本型は差出人に何も伝えないため、この方法には使えません。日本郵便も、基本型は電子署名法などに対応するサービス、特定事項伝達型は犯収法などに対応するサービスと位置づけています[日本郵便]。宅配便のサービスを犯収法の確認に使う場合は、伝えられる項目と記録の方法がこの3点を満たすかを、配送会社との契約前に確かめてください。伝達される記号番号の扱いは本人確認書類の記号番号とはで解説しています。

スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの情報を受け取り、本人のものかを確認して差出人に伝える措置も、同じ方法の一つとして定められています[e-Gov法令検索]。

2027年4月から配達時の確認はどう変わるか

2027年4月から変わる配達時の確認。書類、ICチップ付きの写真付き、郵便は4種類に限定。読み取り、氏名・住居・生年月日、写真を装置で読み取る。照合と伝達、画面に表示し券面と照合、伝える事項は変わらない
犯収法施行規則第6条第1項第1号チ(2027年4月1日施行)と警察庁のQ&A(No.12・No.24)、日本郵便の2026年9月14日の公表による。

2026年3月6日公布の改正命令(令和8年内閣府等令第1号)により、2027年4月1日から上の2が「ICチップ付きの写真付き本人確認書類の提示を受け、ICチップに記録された氏名、住居、生年月日および写真の情報を読み取り装置で読み取り、映像面に表示させる」に変わります[警察庁]。警察庁のQ&Aでは、次の点が示されています[警察庁]。

  • 対象の書類は、マイナンバーカード、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、旅券など(No.5)
  • 読み取った情報と券面の情報を照合する必要がある(No.12)。表示は読み取り装置とは別の端末の画面でもよい(No.14)
  • 委託先から差出人へ伝える事項は変わらない(No.24)

日本郵便はこれに合わせ、2027年4月1日から特定事項伝達型の書類を運転免許証・マイナンバーカード(個人番号カード)・在留カード・特別永住者証明書の4種類に限り、ICチップの情報が書類と一致することを確かめてから郵便物を渡します。運転免許証は4桁の暗証番号を2組入力し、スマートフォンのマイナンバーカードも事前設定をすれば使えます。基本型も書類が同じ4種類に限られ、2点での確認は終わる一方、自宅などへの配達を選べるようになります。特例型は2027年3月31日で終了します。4月1日より前に差し出した郵便物でも、受け取りが4月1日以降になれば変更後の規定が適用されるため、3月中に発送する分も新しい書類の条件で案内する必要があります[日本郵便]。

佐川急便の受取人確認サポートは、2026年10月時点の案内では、書類の記載内容を目視と端末への入力で照合する方式です[佐川急便]。2027年4月以降に犯収法の確認方法として使う場合の扱いや詳細は、各社の案内で確かめてください。配達先での読み取りの流れは配達先でICチップを読み取る本人確認にまとめています。

差出人が選ぶときの注意点

差出人が決めておくこと。用途、犯収法の確認に使うか、使うなら伝達のある型。受取人への案内、使える書類と暗証番号、パスポートのみは不可。記録と返送、伝達情報を確認記録へ、宛名の不一致に備える
本人限定受取郵便は2027年4月1日から書類が4種類に限られ、運転免許証では暗証番号を2組とも入力する。宅配便の扱いは各社の案内で確認する(日本郵便の公表による)。

選ぶときは次の5つを確かめます。2027年4月の変更前後は、書類と暗証番号の案内に注意が必要です。

  • 犯収法の確認に使うか: 使うなら特定事項伝達型か、同じ措置をとる配達に限られます。確実に本人へ届けたいだけなら、基本型や宅配便のパスワード確認も候補です。
  • 受取人が持っている書類: 2027年4月以降、本人限定受取郵便ではパスポートしか持たない人は受け取れません。来店やオンラインでの確認など、代わりの方法を用意しておきます。家族などの代理人が受け取れるのは、基本型で差出人が代人を指定した場合だけです。
  • 受け取りの場所と期限: 郵便は窓口か配達を選べ、保管期間は原則10日です。宅配便の受取人確認は地域によって使えないことがあります。
  • 受取人への事前の案内: 特定事項伝達型で運転免許証を使う場合は4桁の暗証番号を2組入力するため、申込み完了の画面やメールで、使う書類と暗証番号を確認しておくようお客さまに伝えます。暗証番号が分からない人への案内は本人確認で暗証番号が分からないときの対応を参考にしてください。
  • 伝達情報と返送への対応: 受け取った情報を確認記録にどう反映するかを決めます。宛名と書類の氏名・住所が異なると受け取れないため、申込みの手続きで書類どおりに入力してもらい、返送されたときの案内も用意しておきます。

郵送で住居を確かめる転送不要郵便との違いは、転送不要郵便による本人確認と犯収法を参照してください。

配達時のICチップ読み取りを準備する事業者の方へ

マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末steraの3機種と、Androidのスマホ・業務用ハンディ端末で使える本人確認の業務アプリです。Android端末は配達先へ持ち運べ、受取人がカードをかざして暗証番号を入力します。マイナ免許証は免許情報と顔写真、従来の運転免許証は暗証番号1で記載事項、暗証番号2で顔写真も読み、画面で券面と見比べられます。暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像は基幹システムへ送らず、合意した項目だけ連携します。

マイナンバーカードは暗証番号で氏名・住所・生年月日・性別、券面の14桁なら顔写真も読みます。在留カード・特別永住者証明書は12桁の番号で記載事項と顔写真を読みますが氏名は文字で表示せず、旅券には対応していません。施行規則の「氏名・住居・生年月日・写真」を書類ごとに満たせるかは法務担当と確認してください。導入相談の手順は4つです。

1

本人確認配達の対象書類と、受取人が示す書類の種類を整理する

2

配達先で読み取る項目と、差出人に伝える記録の作り方を決める

3

使うAndroid端末とstera端末、既存システムとの連携を確認する

4

マイナドライブIDのデモ・連携相談をこちらの申し込みフォームから申し込む

まとめ:用途と書類から本人確認配達を選ぶ

本人確認配達は、犯収法の確認に使うかどうかで選び方が分かれます。使う場合は、差出人に確認事項を伝える特定事項伝達型か同じ措置をとる配達に限られ、2027年4月1日からは配達時にICチップの氏名・住居・生年月日・写真を読み取って券面と照らし合わせることが前提になります。受取人の書類と返送時の案内まで含めて、今のうちに送り方を見直しておきましょう。

FAQ

よくある質問

Q. 本人確認配達とは何ですか。
配達の際に受取人の本人確認書類を確かめ、名あて人本人にだけ渡す配送の呼び方です。郵便の本人限定受取郵便や、宅配便会社の受取人確認のオプションがあります。
Q. 犯収法の取引時確認に使える本人確認配達はどれですか。
差出人に代わって住居を確認し、写真付きの本人確認書類の提示を受け、確認した者の氏名、提示の日時、書類の名称と記号番号などを差出人に伝える郵便等です。郵便では本人限定受取郵便の特定事項伝達型があたり、差出人に何も伝えない基本型は使えません。
Q. 2027年4月から本人確認配達は何が変わりますか。
犯収法で使う場合、配達時にICチップ付きの写真付き本人確認書類の提示を受け、ICチップの氏名・住居・生年月日・写真を読み取って画面に表示し、券面と照合することが必要になります。日本郵便は本人限定受取郵便の書類を運転免許証・マイナンバーカード・在留カード・特別永住者証明書の4種類に限ります。
Q. 本人限定受取郵便と宅配便の受取人確認の違いは何ですか。
本人限定受取郵便は窓口か配達で受け取り、特定事項伝達型では書類の名称や記号番号などの5項目を差出人がダウンロードできます。佐川急便の受取人確認サポートは配達時に生年月日などを端末で照合し、入力した情報を後日差出人へ提供できます(2026年10月時点)。
Q. 本人確認配達は家族が代わりに受け取れますか。
特定事項伝達型と佐川急便の受取人確認サポートは、家族を含め本人以外は受け取れません。代わりに受け取れるのは、本人限定受取郵便の基本型や特例型で差出人が代人を指定した場合だけです。