クレジットカードや銀行口座をインターネットで申し込んだあと、「本人限定受取郵便(特定事項伝達型)」の到着通知書が届いた。家族に受け取ってもらえるのか、何を持って行けばよいのか、申込先に何が伝わるのかと迷う場面です。

特定事項伝達型は基本型や特例型より受け取りの条件が厳しく、宛名の書き方ひとつで受け取れないこともあります。本記事では日本郵便と総務省・警察庁の資料をもとに、仕組みと受け取り方を整理します。

結論:特定事項伝達型とは犯収法の本人確認に対応した型

特定事項伝達型は、本人限定受取郵便というサービスの3種類(基本型・特例型・特定事項伝達型)の1つで、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)に規定する本人確認のレベルに対応した型です[日本郵便]。郵便局の職員は名あて人本人に限り、写真付きの本人確認書類1点で確かめて郵便物を渡し、書類の名称・記号番号、生年月日、確認者の氏名、提示の日時を差出人に伝えます。

代人を指定できず、ほかの書類や口頭の質問でも確認しないため、宛名と書類の記載(旧姓・旧住所、かなと漢字)が異なると受け取れず、窓口では書類のコピーか記号番号等の記録への承諾も必要です。総務省の資料では、2009年4月に全国で取り扱いが始まったとされます[総務省]。銀行やクレジットカード会社などが、キャッシュカードやクレジットカードの送付に使っています[総務省]。2027年4月1日からは書類がICチップ付きの4種類に限られ、ICチップの情報の確認が加わります[日本郵便]。

基本型・特例型との違い

3つの型の主な違い。基本型、写真付き1点か書類2点、代人の指定ができる。特例型、公的証明書1点、本人への配達もある。特定事項伝達型、写真付き公的証明書1点、代人不可・5項目を伝達
日本郵便の本人限定受取郵便のページと内国郵便約款による(2026年10月時点)。他の書類や口頭質問による確認は基本型と特例型だけで、特定事項伝達型では行わない。

2026年10月時点の3種類の違いを一覧にすると以下のとおりです[日本郵便]。

項目基本型特例型特定事項伝達型
受取場所郵便窓口窓口か本人への配達指定の郵便局の窓口か本人への配達
本人確認書類写真付き公的証明書1点か、写真のない書類など2点公的証明書1点写真付き公的証明書1点
代人の指定できるできるできない
他の書類・口頭質問での確認ありありなし
差出人への伝達なしなし5項目
郵便物の表示本人限定受取本人限定受取(特)本人限定受取(特伝)

代人は差出人が1人だけ指定できる仕組みで、特定事項伝達型では指定できないため、家族や代理人でも名あて人以外は受け取れません。ほかの書類や事実の申し述べによる確認も、基本型と特例型だけの扱いです[日本郵便]。特定事項伝達型の差出人は、事前に利用を申し出て一般書留・料金後納で発送し、加算料金は270円です(2026年10月時点)[日本郵便]。

なぜ銀行やカード会社が特定事項伝達型で送るのか

犯収法は、金融機関やクレジットカード会社などに、預貯金契約やクレジットカード交付などの際、顧客の氏名・住居・生年月日の確認を求めています。特定事項伝達型は、インターネットや郵送の申し込みで対面の確認ができていない場合に、差出人に代わって日本郵便が受取人の本人確認をしてから渡す方法として使われています[総務省]。

警察庁の「犯罪収益移転防止法の概要」も、特定事業者に代わって住居を確認し、写真付き本人確認書類の提示を受け、確認者の氏名や書類の記号番号などを伝える郵便で取引関係文書を送る方法を、本人特定事項の確認方法に挙げています[警察庁]。

2020年4月1日からは施行規則の改正に伴い、書類が顔写真付きのものに限られました[日本郵便]。総務省の資料によると、この改正時に2点の書類による確認を求めた意見に対し、警察庁は、犯収法の義務がない配達業者では的確な履行を担保できないとして認めませんでした[総務省]。

差出人に伝わる5つの情報

差出人に伝わる5つの情報。書類の情報、本人確認書類の名称、記号番号(一部除く)。名あて人、書類に記載の生年月日、拒むと差出人に返還。確認の記録、確認した人の氏名、書類を提示した日時
日本郵便の本人限定受取郵便のページによる。差出人は登録制のホームページからダウンロードする。記号番号は法令等で利用が制限されているものを除く。返還は内国郵便約款第139条による。

特定事項伝達型で受け取ると、差出人は次の5つの情報を日本郵便の登録制のホームページからダウンロードできます[日本郵便]。

1

本人確認書類の名称

2

本人確認書類の記号番号(法令等で利用が制限されているものを除く)

3

本人確認書類に記載された名あて人の生年月日

4

本人確認を行った者の氏名

5

本人確認書類の提示を受けた日時

警察庁は、マイナンバー(個人番号)の収集等は他法令で禁止されているとし、確認記録の記号番号欄にも個人番号を書かないよう示しています[警察庁]。番号の扱いは本人確認書類の記号番号とはも参考にしてください。

名あて人が記号番号や生年月日の伝達を拒むと、郵便物は差出人に返還されます(内国郵便約款第139条)[日本郵便]。警察庁のQ&A(No.24)では、2027年4月の改正後も伝える事項は変わらないとされています[警察庁]。

受け取り方と受け取れないケース

受け取れない主なケース。宛名の不一致、旧姓・旧住所の書類、かな宛名に漢字の書類。通知書なし、到着通知書を出せない、不在配達通知書も同じ。承諾しない、書類のコピーを断る、記号番号等の記録も断る
日本郵便の本人限定受取郵便のページによる。特定事項伝達型は代人を指定できず、他の書類や口頭質問による確認も行わないため、家族や代理人も受け取れない。

到着通知書が届いてから受け取るまで

郵便局から名あて人へ、到着通知書が封書で届きます[日本郵便]。Web申込や電話・FAXで連絡し、窓口で受け取るか、自宅へのお届け日時を申し込みます。持参するものは次の3つです[日本郵便]。

  • 写真付きの本人確認書類1点(氏名・住所・生年月日の記載があるもの)
  • 印鑑(サインでも可)
  • 到着通知書(配達の場合は不要)

窓口では承諾を得て書類のコピーが取られ(不要な部分はマスキング)、承諾しない場合や配達の場合は記号番号等が記録されます[日本郵便]。特定事項伝達型は「転送不要」の記載が条件で転居先へは転送されず、保管期限は郵便局に到着した日から10日間が原則です(差出人が留置期間を朱記した場合はその期間)[日本郵便]。

宛名と書類が合わないと受け取れない

日本郵便は注意点として、特定事項伝達型を渡せない次の4つのケースを挙げています[日本郵便]。

  • 宛名は新姓・新住所で、書類は旧姓・旧住所の記載だけ
  • 宛名がひらがな・カタカナで、書類の氏名は漢字だけ
  • 窓口で到着通知書または不在配達通知書を提示できない
  • 書類のコピーも記号番号等の記録も承諾しない

かな書きの宛名は総務省の行政相談でも取り上げられ、カタカナの宛名の預金通帳を運転免許証で受け取れなかった相談を機に、具体例での周知が日本郵便にあっせんされました[総務省]。申込時に登録した住所などが宛名に使われる場合もあるため、書類どおりの氏名・住所で申し込むことが確実な受け取りにつながります。受け取れなかったときの解決策は本人限定受取郵便を受け取れない理由と対処法を確認してください。

2027年4月から変わること

日本郵便の2026年9月14日の公表によると、2027年4月1日から特定事項伝達型の書類は、ICチップ付き・写真付きの運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者証明書の4種類に限られ、パスポートなどは対象外です。ICチップの情報が書類と一致することを確認してから本人確認を行い、運転免許証では4桁の暗証番号2組を入力します。スマートフォンのマイナンバーカードも、アプリのインストールなど事前の設定をすれば利用可能です[日本郵便]。

4月1日より前に差し出され、受け取りが4月1日以降になるものにも変更後の規定が適用されます。差出人の準備は本人限定受取郵便の特定事項伝達型の変更点で解説しています。

窓口でICチップ付き書類の確認を始める事業者の方へ

マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末stera(stera terminal standard・stera terminal unit・stera terminal mobile)と、NFCに対応したAndroid端末(業務用のハンディ端末やスマートフォン)で動く本人確認の業務アプリです。特定事項伝達型で書類を送る金融機関やカード会社などが、来店した顧客の本人確認書類のICチップを自社の窓口で読み取り、券面と照合する手段になります(郵便局の本人確認とは別の手続き)。お客様がカードをかざし、暗証番号はお客様自身が入力します(stera端末はお客様側の画面のタッチパネル、Android端末は端末画面のテンキー)。スタッフは番号を聞かず、控えもしません。読み取れるのは、マイナ免許証(4桁の暗証番号で免許情報と顔写真)、従来のIC運転免許証(暗証番号1で本籍を除く記載事項、暗証番号2も入力すると顔写真)、マイナンバーカード(4桁の暗証番号で氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号で顔写真も。個人番号は読み取りません)で、顔写真は端末画面に表示され、担当者が本人の顔と見比べられます。

このアプリは、暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像を基幹システムへ送らないデータ最小化の設計で、合意した項目だけをHTTPS POSTで連携できます(認証はmTLS・OAuth2・HMAC署名から選択)。外部へ送らなくても端末画面での照合で確認は完結し、警察庁Q&A(No.41)の「読み取ったICチップ情報をいずれかへ送信する必要はない」という回答と整合します[警察庁]。在留カード・特別永住者証明書は券面の12桁の番号を入力して読み取り、旅券には対応していません。マイナンバーカードは、4桁の暗証番号では氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号を入力すると顔写真も読み取れます。犯罪収益移転防止法の取引時確認に使う場合、読み取る項目(氏名・住居・生年月日・写真)と券面との照合を自社の確認手順に組み込めるかは、法務担当・顧問弁護士に確認してください。導入相談までの手順は次の4つです。

1

特定事項伝達型で送っている書類と、宛名の不一致などで返送された顧客への案内、来店時の本人確認の手順を整理する。

2

自社の窓口で読み取りたい項目と、確認記録への反映方法を決める。

3

使う端末(stera端末、またはNFCに対応したAndroid端末)と既存システムの連携可否を確認する。

4

マイナドライブIDのデモ・連携相談をこちらの申し込みフォームから申し込む。

まとめ:宛名・書類・承諾の3点を確かめる

特定事項伝達型は、郵便局が差出人に代わって犯収法の本人確認を行い、その記録を差出人に伝える型です。受け取る側は宛名と書類の一致、写真付き書類と到着通知書、コピーか記録への承諾を確かめ、2027年4月以降はICチップ付きの4種類を用意しておくことが重要です。

FAQ

よくある質問

Q. 本人限定受取郵便の特定事項伝達型とは何ですか。
本人限定受取郵便の3種類の1つで、犯罪収益移転防止法の本人確認に対応した型です。郵便局が写真付きの本人確認書類1点で名あて人本人と確かめて渡し、書類の名称や記号番号などを差出人に伝えます。
Q. 特定事項伝達型で差出人に伝わる情報は何ですか。
本人確認書類の名称、記号番号(法令等で利用が制限されているものを除く)、書類に記載された生年月日、本人確認を行った者の氏名、書類の提示を受けた日時の5つです。差出人は日本郵便の登録制のホームページからダウンロードします。
Q. 特定事項伝達型の受け取りに必要なものは何ですか。
氏名・住所・生年月日の記載がある写真付きの本人確認書類1点と、印鑑(サインでも可)、到着通知書が必要です。自宅への配達で受け取る場合、到着通知書は不要です。
Q. 宛名がカタカナで本人確認書類の氏名が漢字だと受け取れませんか。
特定事項伝達型では、宛名がひらがなやカタカナで書類の氏名が漢字だけの場合、名あて人本人と確認できず受け取れないと案内されています。申し込みの際は、書類どおりの氏名と住所を登録しておくことが大切です。
Q. 特定事項伝達型は家族や代理人が受け取れますか。
受け取れません。特定事項伝達型は差出人が代人を指定できない型で、名あて人本人だけが受け取れます。