窓口でマイナンバーカードを受け取り、顔写真と目の前の本人を見比べ、記載された住所を申込書と照らし合わせる。対面の本人確認はこの流れで済ませることも多くありますが、デジタル庁は、券面を偽造したマイナンバーカードが本人確認に使われた事案を受け、より厳格な本人確認のためにICチップの読み取りを推進しています[デジタル庁]。

では、担当者は券面のどこを見ればよいのか。券面だけで判断できないとき、ICチップの読み取りで何を確かめ、合わないときにどう動くのか。本記事では偽造の見分け方を、官公庁の一次情報をもとに、窓口の担当者と手順を作る方に向けて整理します。

結論:券面の対策を確かめ、ICチップと照合する

マイナンバーカードの券面には、見る角度で色が2色に変化して見えるインキ、顔写真の表示の特殊な加工、レーザーによる文字の印字など、偽造を難しくする対策が施されています[デジタル庁]。まずこれらの確認が重要ですが、精巧な偽造カードは目視だけでは見抜けない場合があります。そこで、ICチップを読み取り、画面に表示された情報を券面の記載と照合します。

ICチップに記録された情報は、不正に読み出そうとすると自動的にチップが壊れる仕組みで、カードはセキュリティ機能評価の国際標準「ISO/IEC15408認証」を取得しています。読み取りには4桁の暗証番号などが必要で、一定回数間違えるとロックされます[デジタル庁]。照合して合わない際は手続きを止め、責任者に報告します。

券面で確認するポイント

券面で見る偽造防止の工夫。色が変わるインキ、見る角度で2色に変化、カードを傾けて確かめる。顔写真、表示に特殊な加工、本人の顔と見比べる。文字と背景の模様、文字はレーザーで印字、複雑な彩紋パターン
デジタル庁が公表している券面の偽造防止対策から作成。精巧な偽造カードは目視だけでは見抜けない場合があるため、ICチップの読み取りと照合を組み合わせます。

マイナンバーカードのおもて面は顔写真付きの本人確認書類として使え、デジタル庁はカードの普及と利活用の促進に取り組んでいます。券面の偽造対策としては、文字をレーザーで彫りこみ、複雑な彩紋パターンを施すことも紹介されています[デジタル庁]。窓口での確認方法を表にまとめました。

確認する箇所見方目視の限界
色が変わるインキカードを傾け、色が2色に変化して見えるかを確かめる照明や慣れで判断が分かれやすい
顔写真表示に不自然な点がないかを見て、本人と見比べる「特殊な加工」の中身は示されておらず、基準にしにくい
文字の印字記載された氏名・住所・生年月日を読み、申込内容と照らす記載が一致しても、券面が本物である根拠にはならない
背景の模様複雑な彩紋パターンがあるかを見る精巧な印刷との違いは目で見分けにくい

券面の工夫は本物の特徴を知る手がかりで、目で見て真贋を判定する基準ではありません。顔写真が本人に似ていても、券面そのものが偽造されていれば本人確認にはなりません。

目視だけでは見抜けない理由

偽造マイナンバーカードを使った不正の摘発が報じられています。携帯電話の契約でも、特殊詐欺などの被害防止を扱う総務省のサイトが、対面契約で目視確認などが認められている現行ルールのもと、書類の偽造によるなりすまし契約などが問題になっていると説明しています。そのため令和9年4月以降は偽造が困難なICチップの読み取りが原則必須になり、オンライン契約(非対面契約)では令和8年4月1日からすでに原則必須です[総務省]。

本物と見比べる機会が少ない担当者が、限られた時間で券面の細かな工夫を確かめるのは簡単ではありません。今後は、目視を入口とし、ICチップの照合で裏づける手順を本人確認業務の基本に置くのが有効です。

ICチップで確認する方法

ICチップで確かめる方法。対面確認アプリ、デジタル庁が提供、暗証番号の入力は不要。券面事項入力補助、4桁の暗証番号で読む、氏名・住所など4情報。券面との照合、表示内容を1項目ずつ、顔写真は本人と照らす
2027年4月1日施行の犯収法施行規則改正で、特定事業者はICチップから氏名・住居・生年月日・写真を読み取り、券面と照合します(警察庁Q&A No.12・16)。

デジタル庁の対面確認アプリ

デジタル庁の「マイナンバーカード対面確認アプリ」は、事業者や自治体のスタッフがスマホで使うアプリです。券面のおもて面をカメラで撮影して読み取り(OCR)、NFC機能でICチップを読み取ると、顔写真、氏名、住所、生年月日、性別、有効期限などが画面に表示されます[デジタル庁]。券面の生年月日・有効期限・セキュリティコードを使うため、利用者の4桁の暗証番号の入力は不要です[デジタル庁]。表示内容を券面と1項目ずつ見比べ、顔写真を本人の顔とも照らします。

デジタル庁はこのアプリのPC(パソコン)版になりすました偽装アプリへの注意を呼びかけており、PC版は提供していません(2026年10月時点)。インストールは正規のApp StoreとGoogle Playから行います[デジタル庁]。

券面事項入力補助で4情報を読む

券面事項入力補助用の暗証番号は交付時に設定した4桁の数字で、個人番号や4情報(氏名・住所・生年月日・性別)を読み取るためのものです。3回間違えるとロックされ、再設定は市区町村で行います[マイナンバーカード総合サイト]。券面事項入力補助の情報に顔写真は含まれず、個人番号は番号法に基づく事務でしか利用できません。一方、対面での改ざん検知に使える券面APには、おもて面の4情報と顔写真の画像が記録されています[デジタル庁]。読める項目の一覧は券面事項入力補助で事業者が読み取れる項目にまとめています。

警察庁Q&A No.22は、地方公共団体情報システム機構の「個人番号カード対応版券面事項表示ソフトウェア」や民間企業のアプリも読み取り方法に挙げています[警察庁]。

2027年4月の犯収法改正

2027年4月1日施行の犯罪収益移転防止法施行規則の改正で、特定事業者がICチップ付きの写真付き本人確認書類で対面の確認を行う場合、ICチップから少なくとも氏名・住居・生年月日・写真を読み取り(警察庁Q&A No.16)、券面と照合します。照合の趣旨は偽変造等によるなりすましの防止です(No.12)[警察庁]。特定事業者でない事業者が同じ手順を採るのは、義務ではなく運用品質の選択です。

合わないときの対応と窓口の手順

照合が合わないときの流れ。手続きを止める、券面とICの不一致、担当者だけで判断しない。責任者へ報告、その場で受付を保留、警察等への通報を判断。読めないとき、直ちに偽造とは限らない、かざす位置を見直す
警察庁Q&A No.25は、券面情報とICチップ情報が合致しない場合は偽変造が考えられ、なりすましの疑いがあれば警察等への通報を求めています。

手続きを止めて責任者へ報告する

警察庁Q&A No.25は、券面情報とICチップ情報が合致しない場合などは偽変造が考えられるとし、なりすましの疑いがある場合は警察等への通報を求めています[警察庁]。不一致が発生したら手続きを止め、担当者だけで判断せずに責任者へ報告します。

一方、ICチップが読めないことが直ちに偽造を意味するとは限りません。デジタル庁は、スマホでは機種によってかざす位置が異なる場合があること、完了まで5秒以上かかる場合があること、金属の机の上では読み取れない場合があることを案内しています[デジタル庁]。それでも読めないときに別の本人確認書類で進めるか保留するかは、手順書で決めます。

研修と記録を整える

研修では、券面の工夫を実物で確かめ、不一致や読み取れない状況も想定して、読み取りから照合、報告までを通しで練習します。裏面の個人番号は、意図せず見ただけなら収集に当たりませんが、書き取りやコピーは収集・保管制限に違反する可能性があります[個人情報保護委員会]。

特定事業者の確認記録の作り方は今までと変わらず、読み取りログなどの証跡は自主的に残すことも可能です(警察庁Q&A No.39)。対面確認アプリの履歴にあるセキュリティコードだけでは書類を特定するに足りず、書類の名称や記号番号なども記録します(No.42)[警察庁]。全体の流れは店頭でICチップを読み取る基本の手順も参考にしてください。

窓口でICチップを読み取り券面と照合するには

マイナドライブIDは、三井住友カードの決済端末stera(stera terminal standard・stera terminal unit・stera terminal mobile)と、NFCに対応したAndroid端末(業務用のハンディ端末やスマートフォン)で動く本人確認の業務アプリです。お客様がカードをかざし、暗証番号はお客様自身が入力します(stera端末はお客様側の画面のタッチパネル、Android端末は端末画面のテンキー)。スタッフは暗証番号を聞かず、控えもしません。マイナンバーカードは券面事項入力補助用の4桁の暗証番号で4情報(氏名・住所・生年月日・性別)をICチップから読み取り(個人番号は読み取りません)、画面で券面の記載と照合できます。マイナ免許証は4桁の暗証番号で免許情報と顔写真、従来のIC運転免許証は暗証番号1で本籍を除く記載事項、暗証番号2も入力すると顔写真を読み取れ、顔写真は端末画面で担当者が本人の顔と見比べられます。

このアプリはデータ最小化のため、暗証番号の値、ICチップの生データ、標準運用での顔写真画像を基幹システムへ送らず、合意した項目だけをHTTPS POSTで連携できます(認証はmTLS・OAuth2・HMAC署名から選択)。外部へ送信しなくても端末画面での照合で確認は完結でき、読み取ったICチップ情報を送信する必要はないとする警察庁Q&A No.41とも整合します。マイナンバーカードは、4桁の暗証番号では氏名・住所・生年月日・性別の4情報、券面の14桁の番号を入力すると顔写真も読み取れます。在留カード・特別永住者証明書は券面の12桁の番号を入力して読み取り、旅券には対応していません。犯罪収益移転防止法の取引時確認に使う場合、読み取る項目(氏名・住居・生年月日・写真)と券面との照合を自社の確認手順に組み込めるかは、法務担当・顧問弁護士に確認してください。

1

窓口でマイナンバーカードを確認する手続きと、現在の券面チェックの手順を整理する。

2

読み取りたい項目と、記録への反映方法を決める。

3

使う端末(stera端末、またはNFCに対応したAndroid端末)と既存システムの連携可否を確認する。

4

マイナドライブIDのデモ・連携相談をこちらの申し込みフォームから申し込む。

まとめ

マイナンバーカードの偽造の見分け方は、券面の工夫を知ることと、ICチップの情報を券面と照合することの2段構えです。照合で合わないときは手続きを止めて責任者に報告し、なりすましの疑いがあれば警察等に通報します。運転免許証についてはレンタカー受付で偽造免許証を見抜くための実務手順も参考に、扱う書類ごとに手順書をそろえてください。

FAQ

よくある質問

Q. マイナンバーカードの偽造は券面のどこで見分けますか。
デジタル庁は、見る角度で色が2色に変化して見えるインキ、顔写真の表示の特殊な加工、レーザーによる文字の印字、複雑な彩紋パターンなどの対策を案内しています。ただし精巧な偽造カードは目視だけでは見抜けない場合があるため、ICチップの読み取りと照合を組み合わせます。
Q. ICチップを読み取れば偽造カードは見抜けますか。
読み取るだけでなく、画面に表示された情報を券面の記載や本人の顔と照合することが大切です。警察庁は、照合の趣旨を偽変造等によるなりすましの防止と説明しています。ICチップが読めない原因はかざし方などさまざまで、直ちに偽造とは限りません。
Q. デジタル庁の対面確認アプリでは、お客様の暗証番号は要りますか。
券面の生年月日・有効期限・セキュリティコードを使うため、利用者が4桁の暗証番号を入力する必要はありません。アプリは事業者や自治体のスタッフがスマートフォンで使い、正規のApp StoreとGoogle Playからインストールします。PC版は提供されていません(2026年10月時点)。
Q. 券面とICチップの情報が一致しないときはどうすればよいですか。
手続きを止め、担当者だけで判断せずに責任者へ報告します。警察庁Q&A No.25は、合致しない場合は偽変造が考えられるとし、なりすましの疑いがある場合は警察等への通報を求めています。
Q. 特定事業者でなくてもICチップの読み取りは必要ですか。
2027年4月1日施行の犯収法施行規則改正でICチップの読み取りと券面との照合が求められるのは、特定事業者の取引時確認です。それ以外の事業者が同じ手順を採るのは義務ではなく、運用品質の選択です。